野鳥の見られる潮来の風景を守る 方波見 守一
どんな活動をしていますか?
潮来市の野鳥の会の一員としての活動がまずあります。
野鳥の会は月に二回ほど皆で集まって活動する機会を設けているのですが、必ず参加というわけではなく、自分のペースで構わないというところで私は続けてこられたと思っていますね。
水郷県民の森で秋から初春にかけておこなわれる野鳥観察会では講師として、案内役を担っています。
そのため県民の森の定点観測といった形で、見られる種の動向については常に追いかけています。
お子さんを対象に野鳥の姿や生態に触れていただくイベントや、水質保全の啓発の意味もこめて北浦を一周しながら野鳥とその生育環境の関係について考えていただくことを目的としたウォーキングのイベントなども継続して行っています。
他に日本鳥類保護連盟茨城支部のメンバーとして、北浦に面した市内の水原地区にいる野鳥の種の報告という任務も仰せつかっています。その地にやって来る野鳥の種類を継続的に調査することが研究の助けにもなるのです。
はじめたきっかけはなんですか?
20年以上前だったと思いますが、公民館の中で自主的に行われていた野鳥観察の会への参加がひとつのきっかけです。
自分の出発点が理科教師であったということもあり、生物や自然にはもともと関心をもって接していたのですが、野鳥観察の会が本格的にこの世界に足を踏み入れるきっかけを与えてくれたと思っています。
気持ちの良い天気の中、県民の森を歩く。野鳥観察会とは自然を呼吸する中で、鳥たちに出会うことなのです。
カモたちのようすをとらえる参加者の皆様を見守る方波見さん。カモたちの見分け方を丁寧に説明してくださりました。
一番大切にしていることはなんですか?
野鳥に出会うという感覚を大切にしています。
見つけ出してやろうと思って、彼らのすみかに足を踏み入れることは、野の鳥である彼らのあり方に影響を及ぼしてしまうからです。
あくまで自然の中のおいて出会うのだという意識が大事です。
その出会いを知る喜びとして人につなげていくこともまた大切にしていきたいと思っています。
たとえば潮来の市の鳥にヨシキリがいますが、一口にヨシキリと言っても種がいくつかあり、ただ私たちの見るヨシキリは99%の割合でオオヨシキリだったりします。
そうしたお話だけでも興味深く聞いてくださり、より深い面白みを野鳥の世界に見出すきっかけとされる方もいます。
知る喜びを刺激することで、野鳥の世界への理解をさらに深めたいと思っていただければいいですね。
今後の目標を教えてください
野鳥を通して、自然の良さを次の世代につなげていきたいという思いがあります。
それがひいては自然を守ることにもつながるのではないかと考えています。
そこにあるものの魅力に目を向けるきっかけの提供ができればいいです。
そのためにも野鳥に関することであれば、これからも積極的に関わりをもっていきたいと思っています。
たとえば潮来の”白鳥を守る会”は解散してしまったのですが、”守る会”の意志を受け継ぐ形で白鳥の今を追いかけ続けていくべきだと思っています。
私自身、水原地区には馴染みがありますし、もはや潮来市のひとつの名物となるくらい根付いていますからね。もともとは白鳥の飛来を定着させるために餌付けという努力がなされたわけですが、それも今やすっかり彼らの習いとなっています。これからにつなげるためにも”守る”必要があるでしょう。
今後も地域への密着をひとつの基盤としながら野鳥と出会い続けていければと思うのです。
アピールポイント
双眼鏡を覗き込む方波見さん。池を訪れるおしどりたちは県民の森の名物です。
方波見さんは野鳥とどのように接するかというところにたいへん気を配っていらっしゃいます。野鳥、自然の中にある鳥だからこそ、自然のままの姿を大切にしたい。そんな考え方をもった方波見さんによる野鳥観察会は人間本位なあり方とは一線を画します。真に自然に寄り添うとはどういうことか考えさせられます。