変わらないものをつくる、が一番むずかしい。 潮来で味わってほしいトマトがここにある。 兼原 儀弥
どんな活動をしていますか?
潮来およびその近隣の五農家が加盟しております農事法人「みのりの郷」の一員として活動しています。潮来市内にて主にトマトを栽培していて、収穫したものは「みのりの郷トマト」ということで、近隣のスーパーや潮来市内の飲食店に卸しています。それと併せて農園での直接販売にも力を入れています。トマト以外には、時期に応じて米やレタスも育てています。
現在2つのハウスを営んでおりまして、トマトにつきましてはすべて種から育てています。3月から7月と、9月から12月をトマトの栽培の時期に充てており、その他に1・2月には土のリフレッシュという意味も込めて、比較的短い期間で収穫できるレタスの栽培を行っています。それ以外の時期も、植えられる状態まで苗を育てることや、トマトのおいしさに磨きをかけるため試行錯誤を重ねることをしています。
はじめたきっかけはなんですか?
大学を出てからしばらくはサラリーマンとして他県で働いていました。その時期は地元ではない場所で働くことへの志向が強かったのです。ただ父の体調のこともあり、27歳になる年に故郷の潮来に帰ってきました。父が市内でもよく知られた農家を営んでいるということはある程度は知っていたのですが、学生時代にはそれほど興味をもっていませんでした。
実際に仕事として関わる中で、初めて触れる父の農業への思いが、本当の意味で今の仕事に目覚めるきっかけになったと思っています。それからは、『食の検定』や『農薬適正使用アドバイザー』などの資格取得含め積極的に農業分野を学び、農の世界にどっぷりと浸かることとなります。
9月からの栽培に備えて、苗のようすに目をかける兼原さん。農閑期という言葉もここにはありません。
ちなみにハウスは兼原さん自身の手で作られたもの。お父様にも教えていただきながらの共同作業のたまものだそうです。
一つ一つ丹精込めて作られたトマトが、かごの中でつやつやと輝いています。
一番大切にしていることはなんですか?
地産地消に関しては強いこだわりをもっています。ビジネスの拡大や、東京への進出などを勧める声もあるのですが、地元のものは極力地元の人に消費してもらいたいという私自身の思いをこれからも貫いていくつもりです。近隣のスーパーや市内の飲食店に卸すこと、そして直接買いに来てくださる方においしいトマトを販売することこそ、自分のなすべきことだと思っています。
スーパーマーケットに卸す時でも、市場の方にだけ意識が向いているわけではありません。常にお客様にまなざしを向けることを大切にしています。梱包や包装などのコストは極力軽減し、おいしいトマトを届けることに眼目を置いています。
お客様目線という部分では安全面にも気を遣っています。農薬の使用を出来る限り控えるよう努めた結果、特別栽培農産物に認定されることとなりました。堆肥も自然派を目指して、しっかりと手作りしています。もみがら・米ぬか・くず麦・卵のからなど、栄養豊かで体にやさしいものを用いて作ります。
糖度の高いトマトはそれだけ高く取引されるという傾向がありますが、そのあたりにはこだわりはありません。食べた人にトマトが好きになってもらうことができれば、それでいいと思っています。「うちの子どもはここのトマトしか食べなくてね」という率直な言葉を聞いた時には、大きな喜びを覚えました。
今後の目標を教えてください
直接買いに来てくださるお客さんがさらに増えてほしいという思いがあります。以前は生産量を増やそうと試みたこともあったのですが、品質を落としてしまうこととなってしまい、それ以来『量より質』を追い求めるようになりました。なので、うちの作物を買い求めるため当園にまで足を運んでくださる方の存在は励みになりますし、大切にしていきたいです。
市内及び近隣の市町村だけでうちのトマトを売り切ることが今の大きな目標です。
アピールポイント
こだわりのおいしさがたっぷり詰まったトマト。
すぐにでも食べてほしいから、厳重に包装したりしません。
兼原さんの作るトマトの皮は、確かな感触をもっています。 歯を当てて噛みしめてみれば、そこからあふれ出るのは自然な甘み。 たっぷり詰まったみずみずしい果肉を、まずはそのままで味わっていただきたいと強く思います。