地産地消はゆずれない。ここでは主婦が、シェフになる 額賀 啓子
どんな活動をしていますか?
「道の駅 いたこ」内にあるレストラン『おふくろ亭』の代表として活動しております。現在は、主婦経験のある方たちを中心に20名超の女性が『おふくろ亭』に関わっており、皆と協力し合いながら仕事をする日々です。
『おふくろ亭』では名前の通りのおふくろの味にこだわって、昔ながらの手法で一からだしを取り、一品一品心を込めて調理しています。
仕入れ・仕込みから調理・接客、さらには経理にいたるまで従業員の皆とともに分担しながら心をこめて作業しています。代表という立場ではありますが、私がいない時でも作業が滞りなく進むよう心を配っています。レシピをきっちりと明文化しておくことで、味に大きなばらつきが出ないようにしていますし、買い出しについても誰が行っても同じものを買ってくると自信をもって言いきれるほど皆を信頼しています。誰かがいなくとも回っていくような体制を整えるというのもひとつの仕事です。
はじめたきっかけはなんですか?
元々、『道の駅いたこ』内にあった『リコルド』というベーカリーレストランで働いていました。リコルドの方も一定のお客様から支持を受けていましたが、さらに多くの方に親しんでもらえるあり方を目指していく上では、変わる必要を感じていました。そんな日々の中で、道の駅駅長からの助言や潮来のほど近くにあります佐原の道の駅への視察などを通して、自分がやりたいと思えるものを固めていくこととなります。
私自身ずっと潮来で生活してきた人間として、よそには負けないようにより良い場所にしていきたいという思いを長くもっていました。他の道の駅のいいところを参考にしながらも、道の駅いたこでしかできないものをお客様に届けるにはどういう形が最良かと思案していたのです。地の物を扱う道の駅内のご飯処なのだから、地産地消ということでこのあたりでとれたものを美味しく食べていただける場所にすれば、市内外の人をさらに惹きつけるのではないか、道の駅いたこでやる意味も見いだせるのではないかと考えるようになりました。
このような道筋を経て、『おふくろ亭』は動き出すことになります。
食べたいものを自由にとって、最後にお会計という形式がたいへん楽しい……これがおふくろ亭です!
一番大切にしていることはなんですか?
洋食を提供することだってできるけれど、『おふくろ亭』は「農家の味」にこだわっています。この頃は薄味が流行りでもありますが、うちはこれからもはっきりとした味付けで勝負していきます。
昔ながらのしみじみと胸に来るような味付けを大切にしながら、一方では普段家庭で味わえないものを提供しています。定番の「さばのみそ煮」もいいけれど『おふくろ亭』は一味違うものをという思いを込めて作った、「さばのしょうゆ煮」は自慢の一品です。
『手作り』というところにも大きなこだわりがあります。限られた時間の中で仕込み・調理を行わなければならないということもあって作れる数に限りがあるため、お昼時を過ぎると大抵売り切ってしまいます。既製品やインスタントのものを用いれば大量に作ることもたやすいですが、手作りである点はどうしてもゆずれないのでこれからも今のままを保っていけたらと思います。
今後の目標を教えてください
『おふくろ亭』が今よりもっと幅広い人に開かれた場所であってほしいと切に願います。まず何よりもバリアフリーの拡充を通して、足の不自由な方にも入りやすい場所になってほしいという思いがあります。お子様メニューの充実をはかることも目標の一つです。家族で来てもらっても楽しめるという点も非常に大切だと思うからです。
また、繁盛するお昼時を過ぎると、おふくろ亭の中ががらんとしてしまうので、その時間帯が賑やかになるような何かができないものかと思案しています。「食」と結びついた形で新たなサービスが提供できれば理想です。カフェのようにコーヒーを提供することも頭の中にありますし、あるいはラーメンだったりたこ焼きだったりを若い方が作りに来てくれてもこの場所が盛り上がるかもしれません。要望があればこのスペースを貸し出して有効活用していただくことも、道の駅の人たちと話し合いながら今後積極的に行っていきたいです。
やりたいことは尽きません。おふくろ亭の可能性をこれからも探っていく毎日になると思います。
アピールポイント
探求心にあふれた女性の存在が中心にある、そのことだけでとても心強い。 おふくろ亭のこれからの展開に誰もが期待せざるをえない。
おふくろ亭
住所 :茨城県潮来市前川1326-1(道の駅いたこ内)
電話番号:0299-67-1161
営業時間:9:00 ~ 17:00
定休日 :年中無休
座席数 :約70席(テラス席含)
潮来の魅力が詰まったカフェテリア方式のレストラン。
お米だけでなく、ほかの食材も地元の食材を使用しており、潮来の味をご堪能いただけます。 定番メニューの他に、お惣菜も多数提供してますので、組み合わせ次第で様々な料理を楽しめます。
『おふくろ亭』の中に入るといつも迷ってしまう……というのは、そこにはたくさんの料理の選択肢があるからで、そしてどの料理もあまりに食欲をそそるから。今回ありがたいことに『おふくろ亭』の舞台裏を覗かせていただき、きれいに並べられている状態しか知らなかった料理たちのできあがっていくさまを見つめることとなった。どれだけの人がおふくろ亭に関わっていることか、どれだけの思いがそこに注がれていることか、触れた後に食べるご飯の味はいつもよりもさらに美味しく感じた。